このブログのタイトルにもなっている「ため池」
「ため池ってなに?」という方もいるかもしれないので、「ため池とはなにか」を簡単に説明します。
ため池とは
ため池(溜め池)とは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池のこと。農業用水以外にも「洪水の防止」や「生態系の保全」など様々な役割を持っています。お隣、福島県のHPに綺麗にまとめてありました。
人工的な池、と言っても池の底や側面が完全にコンクリートで覆われているものから、もともとあった池を重機で拡張したもの(火打池はこのタイプ)、川の一部をせき止めて作ったもの、小さいものから大きなものまでいろいろです。
私JUNが、友人大さんと管理・整備しているため池「火打池」は、新潟県長岡市小国町の法末集落にあり、周辺の田んぼに水を引くために作られたもので、どちらかといえば小さめのもの。
特徴は
- もともとあった池を昭和の時代に重機で拡張。底や側面は土のまま。
- 手入れを怠ると陸地と池の境が分からなくなる。
- ヨシやミツガシワ、ジュンサイ、ヒシなどの水生植物が生育。
- カエル、メダカ、アカハライモリ、クロサンショウウオなどが生息。
- 餌を付けて釣り糸を垂らせばモツゴ(地元の人は「シナイモツゴだ!」と言っています)がたくさん寄ってくる。
火打池の今
最盛期には100軒ほどあったという法末集落ですが、現在年間を通して居住しているお宅は30軒弱。集落内にたくさんあった田んぼも耕作放棄されるところが増え、現在この池から水を引いているのは1軒だけになってしまいました。
池の管理は、意外と手間がかかります。自然の力は逞しく、なにもしなければあっという間にヨシや水草類が茂り、小規模な池であれば水面を覆ってしまい、徐々に池が狭くなり蓄える水の量も減ってしまうからです。
その上、ヨシも水草も自分の成長のために水を必要とします。茂れば茂るほど、田んぼに回る水が減ってしまいます。また、ヨシなどには水質浄化作用があるのですが、過ぎたるは及ばざるが如し、枯れたヨシなどの有機物の量が多すぎれば、栄養分として使いきれずどんどん池の底に貯まることになり、ヘドロ化し悪臭を放つ原因になります。
そのようなことから、昔は池の周りの草刈りを含めた池の管理は、池の水を利用する人たちが共同で毎年行っていたそうです。
ですが、今はこの池の水を田んぼに使っている人はたった一人、その方はもう90歳を超えているのです。池の管理のような重労働ができるわけがありません。幸いにもここは豪雪地帯、冬にはすべて雪の下に埋まってしまうので、池を覆っていた草も一旦は姿を消し6月頃まではまぁまぁいいのですが、8月頃になると、水面は水草で周囲は草で覆われてしまいます。
池の中にはよく見ればメダカやアメンボなどたくさんの生き物がいるのですが、これじゃぁ池に近づいてみようと思う人もいませんよね。今は田んぼに水を引いている方が、ポンプを入れる場所とその周辺の草刈りなどをしているのですが、その方が田んぼをやめてしまったら池に近づけなくなってしまいそうです。
こんな「近寄りにくく、そのうちなくなってしまいそう」なため池は、実は小国町の中にたくさんあります。多分、長岡市内、新潟県内を見れば本当にたくさんあるのではないかと思います。
ため池は生物多様性の宝庫!
なんだか残念な今どきのため池ですが、地域によっては「ため池は生物多様性の宝庫だ!」ということで、その環境を保全したりしている地域もあるようです。このような取り組みは、主に大都市圏の周辺のようですが、ここ長岡市でも天然のため池は徐々になくなってきているのだから、一箇所ぐらい保全しておくべきなのではないかしら。池がなくなったら、そこに住んでいた生き物もいなくなってしまいます。生き物好きにはとても残念なことです。
池の中にいるメダカをすくえる、カエルやイモリも捕まえられる(但し、自己責任!)そんなため池があってもいいんじゃないかな(需要があるのかは・・・・)。
結局、平野部での大規模な農業が中心となりつつある今の時代、山の方で行われている小規模な田んぼや畑のためにあった「ため池」は、農業のためとしての役割を終えつつありやがて消滅する運命なんでしょう。
なんだか暗くなってきたので、私の好きな法末集落の景色をどうぞ!
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